ブーケ・セラピー体験ルポ②【思考と入ると手が止まる。無心、無心、ひらすら無心……】

いよいよブーケを束ねていきます！

中指、薬指、小指の三本で茎をはさみながら、手首をひねって回転させつつ、花材を一本ずつ入れていきます。

こうすると、らせん状の「スパイラル」に枝の根本が収まっていきます。↓

ブーケは上部を自由に束ねていいのですが、唯一のルールがこの下部のスパイラル。

さとさん曰く、「下は規則正しい男性性（理性）、上は情緒豊かな女性性（感性）」。ブーケはその両者がなければ、成立しないとのこと。

なんとも深い話ですね～。理性と感性のバランスが大切なのは、人と同じです。

さて、花材を思った位置に入れ込んでいく。この作業が、なかなか難しい！

私は手先が不器用なので、スパイラルを意識して手を動かすと、思った所とはズレた位置に、花が入ってしまいます。

でも、考えている時間はなかなかありません。ゆっくり作業していると、茎や花が”くにゃっ”としてしまうのです。

「シャンペトル・ブーケ」の難易度が高いと言われるのは、花材がデリケートなので、スピード勝負の所だそうです。

直感的に選んだ花材を、直感的に「ここだ」と思った位置に、瞬時に入れていく。

”ザ・直感勝負”！！　思考の入る隙間はありません。

しばらくは苦戦が続きました。「どうしてできないの！」「ああ、難しい」。考えれば考えるほど、余計に上手く花材がまとまりません。

考えるな！　直感だ！　感じたままに、手を動かすんだ！

それでも上手くいかず、手を止めて、何度かさとさんに、ブーケを整えてもらいました。

↑たまに遠くから眺めて、ブーケ全体のバランスを見ます。

そんな状況が続きながらも、必死に手を動かしていると、思った位置に、花材がひょいひょい入るようになりました。

「おっ！いい感じ」「なーんだ、こうやれば上手くいくのか」

と思考で納得しようとすると、とたんに手が止まり、ズレた位置に花材が入ってしまうのです。

無心、無心……ひらすら無心！　心を無にして、手だけ動かす。こんどは花が収まるべき位置に、スーッと収まっていく。

なんて不思議なんだ！　ブーケの世界。

↑束ねたブーケを調整する、さとさん。

普段は何気なく眺めていた花屋さんのブーケ。実はすごいんだと思いました。

最後の方は、無心で手を動かしていました。

一木、一草を手に取って、直感的に差し入れる。

ひたすら、無言。（さとさんの、「いいですね～」という声だけが時折、響く）。

なんとも心地よい、集中時間が続きます。

まるで花が、「ここに入れて」と言っているかのようです。勝手に手が動きます。すごく不思議な感覚です。

そうしてやっと完成したブーケがこちら。じゃじゃじゃーん！

夜の江北はなびに咲き誇る、シェイクスピアの「アーデンの森」のブーケ。

なんて幻想的なんでしょう。なんて素敵なんでしょう。

さとさんからも「難易度の高いブーケを、よく仕上げましたね！」とお褒めの言葉をいただきました。（時間かなりオーバーしてたけど）

やった～！　ほわあああ～(*´ω｀)

自分でも想像以上の完成度です。

作った当日は、ブーケを完成させた達成感に包まれていました。

やったー。家族やスペースに来た人に、見せびらかすど～！！

そんな私は、まだブーケ・セラピーのホンモノの恐ろしさを、知る由もなかったのです。

続き：ブーケ・セラピー体験ルポ③【心の声に体がスーッと従う感覚を、自転車に乗れた時のように体感できる】

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